もっと伝わる! Oengus「ゲーム概要」の書き方講座・実践編

ごきげんよう紫乃です。

 

以前執筆した「プロのライターが教える! Oengus「ゲーム概要」の書き方講座」は、RTA in Japanの応募が始まるタイミングに合わせて大勢の方に読んでいただいています。ありがたいものですね。

私も先日この記事を読み返していたのですが、基本的かつ抽象的なことしか書いてないと感じたので、もう少し実践的な内容を書こうと思います。今回も相変わらず持論なので、鵜呑みにはせず「あ~こういう考え方の人もいるのね」程度に受け取ってください。

今回の内容は、Oengusのゲーム概要だけでなく文章全般に言えることだと思うので、イベントに参加しない方にも役に立つかもしれません。そうだったら嬉しいですね。

 

なお、本記事は以下の記事を読んでいる前提で話を進めます。もしまだ読んでいなければ、ざっと目を通していただけると幸いです。

freewheelingbubbles.hateblo.jp

 

そもそも、伝わる文章とは?

皆さんが普段目にする文章の中には、1回読んだだけで意味が理解できるものもあれば、読んでも何を言いたいのかよく分からないものや、そもそも読む気もしないものもあるのではないでしょうか。

読み手に伝わらない文章には、以下のようなものが多いです。

  • そもそも読む気にならない。読むメリットが感じられない。
  • 読みはするけど何を言いたいのか分からない。結論がはっきりしない。

つまり、この2点を解消すれば、読んでもらえるし言いたいことが通じる文章が書けるわけです。前の記事で書いたポイントのうち、「不要な情報はできるだけ削る」がこれに当たります。

 

 

しかし、Oengusのゲーム概要はアピールの場。読んで意味を理解してもらっただけでは不十分です。

そこで、魅力やアピールポイントなど、読み手の興味・関心を引く項目を加えることで、初めて魅力が伝わる文章が仕上がります。前の記事で書いたポイントでは、「『見ていて』面白いポイントを盛り込む」がこれです。

 

というわけで、今回目指すゴールは

  • 言いたいことが通じる
  • 魅力やアピールポイントが伝わる

の2点を満たした文章が書けるようになることです。それぞれの項目について、これから解説します。

言いたいことが通じる文章を書くコツ

この章では、読んでもらえる文章や、言いたいことが通じる文章を書くためのコツを紹介します。

身構えてしまう人もいるかもしれませんが、心配はありません。自分が読みたくなくなる文章の逆をやればいいだけです。

1文はなるべく短くする

皆さんは、国語の授業で1文がめちゃくちゃ長い小難しい文章に出会ったとき、「マジで何が言いたいのか全く分からん」と感じたことはありませんか? 私は毎回思っていました。

難しい文章はもちろん、そこまで難しい内容ではない文章でも、1文が長くなるとそれだけで読みにくくなるものです。

 

文章例1-1

パズルボブルVR バケーション・オデッセイ」は、2021年に発売されたOculus Quest向けのソフトで、主人公のバブルンが生誕35周年を迎えたのを記念して発売されたシリーズ初のVRゲームで、Surviosが開発を担当しており、バブルをキャノンから発射して同じ色のバブルを繋げて消すという単純なルールですが、照準を合わせるのが難しくクリア難易度が高いのが特徴です。

読むのが面倒くさい文章ですね。では、1文を短くしてみましょう。

 

文章例1-2

パズルボブルVR バケーション・オデッセイ」は、2021年に発売されたOculus Quest向けのソフトです。主人公のバブルンが生誕35周年を迎えたのを記念して発売されたシリーズ初のVRゲームで、Surviosが開発を担当しました。バブルをキャノンから発射して同じ色のバブルを繋げて消すという単純なルールですが、照準を合わせるのが難しくクリア難易度が高いのが特徴です。

元の文章で1文だったものを、3つの文章に分解しました。表現や言い回しは変えず、語尾を少しいじっただけですが、かなり読みやすくなったと思います。

 

1文を短くすると、その分読み手に理解するための休憩時間を与えられます

畏まって真面目な文章を書こうとしたときは、特に一文が長くなってしまいがちです。自分の文章を読み返して「ちょっと1文が長いな」と思ったら、どこかで文を切れないか考えてみることをおすすめします。

結論から言う

人の話を聞いているときに、「だから何を言いたいのかはっきりしてくれよ」といらついた経験はありませんか? 私はよくあります。

この原因の1つが、結論を言わずにその理由や事例を延々と話し続けることにあります。

 

ビジネスマンのトークスキルについて論じる際には、よく「PREP法」というテクニックが用いられます。

気になる方は各自で調べていただくとしてざっくり説明すると、「最初に結論を言った後に理由と事例を説明し、最後にもう1回結論を言う」という話し方で、結論を先に言うので一番言いたいことが相手に伝わるうえに記憶に残りやすいというメリットがあります。

 

文章例2-1

このゲームの日本人走者は去年まで2人しかいませんでしたが、今年の1月に初心者並走会が行われたり、その後も継続して並走会や大会が開かれた結果、日本人走者が今では6人に増えました。今界隈が盛り上がっているゲームです。

悪くはないんですが、もう少し手を加えてみましょう。

 

文章例2-2

このゲームのRTAは今年に入って盛り上がりを見せていて、去年まで2人しかいなかった日本人走者が6人に増えました。今年の1月に初心者並走会が行われたことや、その後も継続して並走会や大会が開かれたことが理由として挙げられます。

この文章で最も伝えたいことは、界隈が今盛り上がっていることです。一番言いたいことを最初に持ってくることで、結論がスピーディーかつ的確に伝えられる文章になりました。ちなみに、この文章の長さでは最後にまた結論を言うとくどいので、結論は最初にしか入れていません。

 

RTA走者に限らず人間はせっかちな生き物なので、結論がいつまでも分からないとやきもきしてしまいます。

人に何かを伝えたいときには、一番伝えたいことは真っ先に伝えてあげましょう。

回りくどい表現を避ける

前の記事では「いらない文章はなるべく削りましょう」と伝えましたが、今度は文章ではなく単語単位で削ります。

どういうことかは、実際の文章例を見ていただいた方が早いです。

 

文章例1-3

パズルボブルVR バケーション・オデッセイ」は、2021年に発売されたOculus Quest向けのソフトとなっています。主人公のバブルンが今年で生まれてから35周年を迎えたのを記念して発売された、パズルボブルのシリーズでは初のVRゲームで、Surviosが開発を担当しました。バブルをキャノンから発射して同じ色のバブルを繋げることで消すことができるという単純なルールではありますが、照準を合わせるのが簡単ではなくクリアするための難易度が高いのが特徴だと言えます。

どうでしょうか。先ほどの文章例1-2から内容はほとんど変わっていませんが、余計な文字が増えて読みにくくなっていると思います。

1-2の文章が186文字なのに対しこの文章は233字と、情報量がそのままなのに50字近くも増えています。

 

元の1-2の文章と読み比べてみてください。

文章例1-2

パズルボブルVR バケーション・オデッセイ」は、2021年に発売されたOculus Quest向けのソフトです。主人公のバブルンが生誕35周年を迎えたのを記念して発売されたシリーズ初のVRゲームで、Surviosが開発を担当しました。バブルをキャノンから発射して同じ色のバブルを繋げて消すという単純なルールですが、照準を合わせるのが難しくクリア難易度が高いのが特徴です。

1-3の文章を読んでからこの文章を見ると、とてもすっきりして見えるのではないでしょうか。回りくどい表現がなくなるだけで、文章が洗練された雰囲気に仕上がります。

 

「って言われても、どれを削ればいいか分からないよ……」という人は、以下の表現を見つけたら言い換えができないか考えてみましょう。

  • となっています、ということです→です
  • することができる→できる

これらの表現が全て悪いというわけではないのですが、使いすぎると読みにくい文章になってしまうため、気付いたら修正するのをおすすめします。

魅力やアピールポイントが伝わる文章を書くコツ

この章では、より魅力的な文章を書くためのコツを紹介します。

ここまで読んでいただいた皆様なら、あとは熱意さえあれば魅力的な文章は書けます。その熱意に加えて、ちょっとしたテクニックを解説します。

最もアピールすべきポイントはどこかを考える

早速文章の書き方ではなくて恐縮ですが、魅力的な文章を書くうえで重要なのは何をアピールするかです。

以前プレスリリースの記事でも「メディアがニュースにする価値をどこに見出すか考えること」が何よりも重要だと書きましたが、Oengusのゲーム概要でも「ゲームの選考をする人がどこに価値を見出すかを考えること」が何よりも重要だと思います。

 

疾走感のあるプレイング、壁抜けなどのバグ技、乱数のブレをカバーするリカバリ、作品の世界観など、あなたが走っているそのRTAの魅力はどこにあるでしょうか。

1人2作品しか応募できないという制約の中でそのタイトルを選ぶのですから、そのゲームの魅力は走者であるあなた本人が誰よりも知っているはずです。その魅力を自分の言葉で表現すれば、必ず誰かの心に響きます。

文章を書きはじめる前に、まずはアピールポイントを書き出してみましょう。前の記事でもアピールポイントについて触れていますので、参考にしてください。

数字を上手に使う

さて、前の章で「あなたの思う魅力を自分の言葉で表現しよう」と述べた直後にこんなことを言うのも恐縮ですが、好きという主観は伝わりにくいものです。

ではどうするか。客観的に伝わる数字を活用すればいいのです。

 

文章例2-2

このゲームのRTAは今年に入って盛り上がりを見せていて、去年まで2人しかいなかった日本人走者が6人に増えました。今年の1月に初心者並走会が行われたことや、その後も継続して並走会や大会が開かれたことが理由として挙げられます。

先ほど使ったこの文章も、数字を使って界隈の盛り上がりを表現しています。この文章でも悪くはないのですが、もう少しインパクトを持たせてみましょう。

 

文章例2-3

このゲームのRTAは今年に入って盛り上がりを見せていて、今年に入って日本人走者が3倍に増えました。今年の1月に初心者並走会が行われたことや、その後も継続して並走会や大会が開かれたことが理由として挙げられます。

どうでしょうか。走者が4人増えるのも大事件ですが、3倍に増えたと伝えた方がインパクトがあると思います。大丈夫、嘘はついていません。

 

感情は主観的なものですが、数字は客観的に事実を伝えられます。アピールポイントに数字が絡んでくるときは、上手に使いましょう。

記録動画で伝えきれない魅力をゲーム概要で伝えよう

ここまで、前回の記事よりも実践的なゲーム概要の書き方を紹介しました。

RTAイベントの選考をする際に重要なのが記録動画であることは言うまでもないですが、記録動画では伝えきれない魅力もたくさんあると思います。そんな魅力を伝えられる場がゲーム概要なので、上手に使って自分の走っているタイトルをアピールしてください。

 

というわけで、宣伝のお時間です。

2021年9月30日、バブルボブルシリーズ最新作のSteam移植版「バブルボブル 4 フレンズ すかるもんすたとワークショップ」が発売されます。

この記事が少しでもお役に立ちましたら、ぜひウィッシュリストへの追加や購入をよろしくお願いいたします。

(※このブログはアフィリエイトを使用していません。)

store.steampowered.com