以前「【ないゲームレビュー】パズルボブル最新作を遊んだ感想をレビューする」という記事を書いたことがありますが、なんとパズルボブルの最新作が本当に発売されました。しかもVRで。まさかの展開すぎる。
私はこのためにわざわざOculus Quest 2を購入し、三半規管を鍛えてVR酔いを克服し、この日に備えてきました。
配信が開始されたのは、2021年5月21日、日本時間の午前2時(米国東部標準時では20日正午)。公式から21日発売とのアナウンスがあったため、0時になった瞬間からOculusストアに貼りつきリロードを繰り返していました。
— Shino.(紫乃) (@Shinonon_1020) 2021年5月20日
その甲斐あって、配信開始から1分で購入が完了。1時間ほど夢中で遊んで睡眠をとった後、発売から7時間後にこの記事を書いています。
この記事では、「タイトーの回し者」や「パズルボブルのお姉さん」などの愛称を持つ、パズルボブル歴20年のパズルボブルRTA走者である筆者が、シリーズ最新作の魅力を紹介します。
パズルボブルVR バケーション・オデッセイとは
「パズルボブルVR バケーション・オデッセイ」(以下、「パズルボブルVR」と呼称)は、Oculus Quest向けに発売されたパズルボブルシリーズの最新作です。
タイトー作品としては初のVRゲームである今作は、「The Walking Dead: Onslaught」などのVRゲームを手掛けるSurviosが開発を担当しています。
全100ステージのストーリーモードや、次々に現れるバブルを消していくエンドレスモードに加えて、ファン待望のオンライン対戦が実装されているのも、今作を語るうえでは欠かせない魅力の1つです。
ゲームシステムは、おなじみの発射台から弓矢でバブルを打つというものではなく、宙に浮かんだバブルの塊にキャノンを使ってバブルを当てるというもの。
手玉の交換ができることや、決められた手玉数でクリアを目指すステージクリア型であること、ステージ開始時にアイテムを持ち込めることなどから、スマートフォン向けアプリの「PUZZLE BOBBLE JOURNEY」に近いと言えば今シリーズのファンには伝わるのではないでしょうか。
ゲームシステム
パズルボブルVRが発表された当初は、スクリーンショットや動画などを見て「これは本当にパズルボブルなのだろうか」と思うこともありましたが、これは間違いなくパズルボブルです。
言うならば、パズルボブルという枠をシリーズの中で最も広げた作品といったところでしょうか。過去にも滑車や連鎖、ダンパーなどの新要素が追加されたことはありましたが、パズルボブルVRほど過去の作品から大きく舵を切った作品はありません。
パズルボブルVRの魅力は、「パズルボブルでありながら我々の知っているパズルボブルではないこと」だと筆者は考えます。
どのような点がパズルボブルであり、どのような点がこれまでのパズルボブルと異なるのか、筆者の感じたことをご説明します。
エイムについて
パズルボブルシリーズを遊ぶうえで欠かせない要素の1つが、狙ったところにバブルを当てるエイムです。もちろんそれ以外にも求められることは多々ありますが、エイムが定まらなければ、RTAどころかクリアも怪しいです。
そんなエイムに関しては、パズルボブルシリーズの中でも群を抜いて難しいと感じました。
3Dのエイミングに慣れていないという点を差し引いても、キャノンを持つ手と引く手のどちらか片方でもブレたらエイムがズレてしまうため、狙ったところに撃つのはかなり難しいです。
ガイドが表示されるうえに、同じ色のバブルと繋がるところであれば白く光って教えてくれるのですが、それでも発射時に思わぬ方向へ飛んでいってしまうことが多々ありました。
座って肘置きに肘を固定した状態でプレイしてもエイムがズレたので、立ってプレイするならさらに精度が求められそうです。
また、このゲームのエイムを難しくしている要因の1つが、バブルが移動することです。
左右や前後に移動したり、ゆっくり回転したりするため、「撃った瞬間は当たるはずだったのに、着弾した時にはズレている」ということが多々あります。
正直なところ、発売前は「ガイドも出るしこれめちゃくちゃ簡単なのでは? エイムそこまで重要じゃなくない?」と思っていたのですが、ごめんなさいめっちゃ重要です。
このエイムの難しさはまさにパズルボブルだと感じました。
パズル要素について
パズルボブルシリーズを語るうえでもう1つ欠かせないのは、タイトルにも冠しているパズル要素です。具体的には、「どこを消せばまとめて落とせるかを推察する力」とでも言いましょうか。こちらもRTAに限らず、通常プレイでも必須です。
これまで我々は2Dのパズルボブルしかやってきていなかったせいもあり、3Dで同じことを求められても対応はかなり難しいです。
空間に浮かぶ立体図形の構造を把握しなければいけませんし、そもそもまとめて落とすために消さねばならないバブルは図形の中心にあるので、初見での把握はまずできません。
学生時代に数学の立体図形の問題が得意だった人はさほど難しくないかもしれませんが、数学を赤点ギリギリで切り抜けてきた筆者には難易度が高いです。
しかし、まとめて落とせた時の爽快感はシリーズ随一と言っても過言ではありません。
「イエーーーーーーーーイ」という効果音とともにバブルが弾け飛んでいく様は、最高に気持ちが良いです。パズルボブルシリーズの魅力の1つである爽快感が、VRで見事に進化しています。
乱数について
パズルボブルを語るうえで切っても切れないのが、乱数との関係です。通常プレイではもちろん、RTAではこの乱数がタイムに大きく影響します。
今作は手玉交換システムがあるので、手玉の乱数にはそこまで悩まされないだろうと思っていたのですが、今作でもパズルボブルはパズルボブルでした。
パズルボブルVRでは、バブルを発射させて当てるとコアが回転する仕組みになっているため、「狙えるところに手玉の色がない」という状況がよく起こります。この時点でまずパズルボブルです。
「要らない色だから交換しよう!」と思ってバブルを交換してくれるボブルンを見てみると、全く必要ない同じ色のバブルを持っているなんてことはザラです。
難易度について
エイムと戦略の立て方が難しく、乱数まで容赦しないパズルボブルVRは、結果的にステージの難易度も高いです。
筆者は1時間弱でステージ16までクリアしましたが、序盤とは思えないほどクリアに失敗してきました。体感で3分の1くらいはクリアに失敗してやり直しています。
ステージのクリア条件は手玉の数やタイムですが、序盤からかなりギリギリに設定されていて、効率的に落としていかないとクリアが難しいです。
また、エンドレスモードでは時間でどんどんバブルが上がっていくので、どんどん撃って消していかないとあっという間に終了します。
この難易度の高さ、やりごたえがありますね。
グラフィック
ゲーム画面を見ていただければ分かるように、パズルボブルVRのキャラクターは、かなりリアルに寄せて作られています。質感こそ異なりますが、映画「名探偵ピカチュウ」に出てくるポケモンに近いと言えばイメージしやすいかもしれません。
【パズルボブル】
— 今日のタイトー (@Taito_Info) 2021年5月20日
Oculus Quest / Oculus Quest 2用ソフト
『パズルボブルVR バケーション・オデッセイ』
本日5月21日(金)発売✨
▶https://t.co/gVPwGVN4VB
詳細➡@bubblun_jp#今日のタイトー #パズルボブル #バブルボブル #PBVR #バブルン35周年 pic.twitter.com/qI6jnnMGvk
このキャラクターデザインが発表された当時はシリーズのファンからも賛否両論だったのですが、実際に動いているのを見るとめちゃくちゃかわいいです。
特に、上目遣いでこちらを見てくるボブルンからバブルを受け取る瞬間は思わず頬が緩んでしまうほど幸せなので、バブルドラゴン好きは今すぐ買いましょう。
また、背景のグラフィックもかなりの種類が用意されていて、どれも作り込みがしっかりされていて見ごたえがあります。本当に旅行に来たかのような気分で、まさに「バケーション・オデッセイ」といった雰囲気です。
サウンド
パズルボブルVRには、パズルボブルシリーズでおなじみのBGMが多数収録されています。パズルボブルRTAをやっている時に幾度となく聞いた曲が流れてくると、テンションが上がります。
加えて、今作では効果音もパズルボブルシリーズの過去作のものが使われています。
これはパズルボブルシリーズのファンの方にはご自身で発見していただきたいので、あえて詳細はお話ししません。君の耳で確かめてくれ!
ステージの効果音も、没入感を高めてくれて良いです。波の音が聞こえたり、頭上から鳥の鳴き声が聞こえたりと、パズルボブルの世界観に浸れます。
キャラクターとストーリー
ストーリーは、毎度おなじみの悪役どらんくにクルルンとコロロンがさらわれてしまったので、助けに行くというもの。どらんく、ほんとよく出てきますね。
ストーリーはイラストで展開され、イラストのタッチはまさに「PUZZLE BOBBLE JOURNEY」と同じ。我々がよく知っている方のバブルドラゴンが出てきます。
イラストはとってもかわいいのですが、ストーリーには一切文字がないので、頑張って読み取りましょう。
また、バブルを投げてくれるボブルンも喋るのですが、ちょっと海外アニメのキャラっぽい喋り方をします。それもまた、かわいい。
総括
まだ1時間しかプレイしていませんが、パズルボブルVRは難易度が高めに設定されていて、やりごたえのあるゲームに仕上がっていると思います。
「かわいい顔をして難しい」というパズルボブルシリーズのお約束はしっかりと踏襲されているので、既にVRのシューティングゲームをやっているゲーマーにもおすすめです。
私はパズルボブルシリーズの大ファンなので補正がかかっているかもしれませんが、それを差し引いても今作はよくできていると思います。
シリーズ初のVR作品でシステムこそ大きく変わっているものの、過去作を大事にしていることが随所から伝わってくるので、パズルボブルシリーズのファンなら購入して損はありません。
Surviosさんとタイトーさん、この度はパズルボブルVRをリリースしてくださり、本当にありがとうございました。
というわけで、皆さんもぜひバブルドラゴンになりましょう。
お値段は1,990円、とってもお手頃価格ですね。(※Oculus Quest 2本体は37,180円です。)